さくらの本棚

ちいさなヒッポ
9月の本
「ちいさな ヒッポ」


偕成社

マーシャ=ブラウン さく
うちだ りさこ やく
パピルスのしげる川辺でカバの子ヒッポは、生まれました。
いつもお母さんと一緒に昼間は水の中で過ごし、日が暮れると水から出て、草地で夜明けまで草を食べ続けます。
お母さんはヒッポにカバの言葉を教えています。「こんにちは」「あぶない」「助けて」。そしてお母さんは「グァオ」と叫ぶ事がとても大切だと教えます。
生まれて成長する小さなカバの子の姿は、そのまま自分の姿に重なって共感しながら楽しんで見てくれることでしょう。
人間の世界でも独り立ちする過程で大事なことは、自分の力にあまると思ったとき「助けて!」といえることです。そして自分の命を大切に生きる子どもに育ってほしい。そんな思いを強くする一冊です。

おたよりノートから
お母さんの悩み

今月は”かみつき”についての相談です。
  近所の友だちと遊んでいてかみついてしまいます。
  家では気に入らないとかみつきにきます。
  兄弟をかんでしまいます。


発達段階の一つです
 かみつきは、0歳から2歳頃によくおこります。保育所では1歳児クラスによく見られます。
ちょうど自我が芽生え始め、自分の要求や思いが出てくる頃です。友だちやおもちゃなど、身の回りの物への興味、関心が旺盛になってきます。
でもまだ自分の要求や思いを言葉で表現できないため、かみつきという行動に出てしまいます。

どんな時におこるの?
 「一緒に遊びたい。」「おもちゃ貸して!」といった思いが強い時におこります。また心理的にイライラしているときも、ささいなことでかみついたり、攻撃的になることもあります。
 かまれた様子を見て「かんじゃダメ!」と言っても納得しません。必要なら手当てをし、「痛かったね、ごめんね」とかまれた子への対応をします。そしてかんだ子の立場にも立って「○○ちゃんと一緒に遊びたかったのよね」とその子の気持ちを代弁し、互いの気持ちを交流させる言葉がけをします。
「入れて」「返して」という言葉も教えていきます。
保育所では、ほぼ同じ発達段階にある子が、一緒に生活しているので、かむ子はかまれることも多く、特に好奇心旺盛な子はトラブルに巻き込まれやすいです。

どうしたらかまなくなるの?
 トラブルがあるたびに、繰り返し子どもの思いを言葉で代弁します。
次第に言葉を覚え、相手の気持ちが理解できるようになると、かみつきはなくなります。
友だちとの信頼関係の基礎を築く大切な時期です。
子どもの成長に合わせた対応の積み重ねが、よりよい人間関係を作る準備になります。

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